Mon journal 甘くて優しい日々のこと

「発酵」バターのお話。

イズニーAOC、エシレAOC,ボルディエさん、マルシェの非加熱。いずれも発酵バター。
さてどれがどれでしょう?

バターが大好きです。

美味しいフレンチとは、バターを感じさせず、バターが大量に入ってる料理だ
と言ってはばからなかったのは、フランスで知り合ったキュイジニエの友人。

なるほどなるほど、固さを調節したり、まろやかさを出したり…
フランス料理ではバターはなくてならない陰の立役者。

でも、お菓子だと、最初に、おお、バターの香りが味が、風味が!!と主役になることが多いですね。特に焼き菓子。


私は無塩の発酵バターを使ってます。どうしてかというと

「おいしいから。」

しかし、発酵バターと非発酵バターの違いって…?
発酵したバター?その作り方の違いは?

お教室での生徒さんの質問を受けて、
某メーカーのお知り合いの方にお話しを伺いました。
とても丁寧にご説明いただき、わたくし、ものすごーく勉強になったので
こちらで、かいつまんで載せさせていただきます〜。

1. 発酵バターと非発酵バター(スイートバターともいう;通常のバター)の違いは?

バターはクリームをチャーニングして
(クリーム中の乳脂肪球を撹拌して乳化を破壊した後、混練して)作られます。

このとき原料となるクリームを発酵させて作ったものが発酵バターで、
非発酵のクリーム(通常のクリーム)を原料として作ったものが非発酵バターです。

乳酸菌の種類や発酵条件の違いにより、それぞれ風味の違う発酵バター多々が世の中にあります。(ヨーグルトやチーズが多種多様な風味を持つように。)
業務用では国産品も多種販売されております。

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…実はわたし、知らなかったのですが、
大量生産モノの発酵バターの中には、クリームを発酵させてチャーニングするというトラディショナルな製法の他に、通常のバターに濃いヨーグルトを混ぜ込む方法で作られているものもあるそう!
安定した風味を有し、大量生産には向いているけれど、風味はやや単調だとか。
どこのがそうなのか気になる…。(でも、私にその味の差がわかるかどうか…汗)



2. なぜヨーロッパでは発酵バターが主流で日本ではあまりないのですか?

ヨーロッパでは昔からそうだったから。
昔々、「非発酵」の乳・乳製品は昔はほとんど存在せず、搾った乳をすぐに直接飲む以外は何がしかの「発酵」をした乳・乳製品が大半でした。(ヨーグルトやチーズがそうですね)
それもそのはず近代冷蔵技術が完成されたのはほんの100年程度前。
それ以前は放っておくと自然に乳酸菌による発酵がおきてしまうということです。
バターを作るにも例に漏れず、むしろ「非発酵バター」を作るのは至難の技であったはずです。

酪農/乳・乳製品食文化の歴史が深いヨーロッパでは食習慣/食の嗜好の面から発酵バターが好まれているのです。


一方、日本はそもそも近代酪農がはじまってから100年程度。
近代冷蔵技術とほぼ歩みを一致させます。
また、酸のしっかりしたヨーグルトやチーズらしいチーズ(昔から作られている本当のナチュラルチーズ)が最近まで好まれなかったように、食習慣/食の嗜好から発酵乳製品に対しては距離を置いてきたと言って良いでしょう。
(最近は乳製品の食体験を積み重ね、広範な発酵乳製品;様々なナチュラルチーズやヨーグルト、発酵バターなど が受け入れられつつあります。)

またもう一つの要因は、明治以来の日本の乳業がヨーロッパ型と言うよりは米国型であったことから、製品ラインナップに発酵乳製品が少なかったこともあげられるかもしれません。
ヨーロッパでのチーズにあたる保存可能な乳製品は、米国,日本では加糖練乳,脱脂粉乳などに置き換えられてきました。
それゆえ、発酵乳製品の市場への投入は限定的かつ最近の話で、
日本人の発酵乳製品の食体験を狭める結果となっているようにも見えます。
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な、なるほど…。
なんだか私には目から鱗のお話しでした。
日本人も大豆を手を変え品を変え、さらには発酵させていただいてますよね。
豆腐、納豆、醤油、味噌…。
「発酵」したものがあるということは、つまりは、冷蔵技術のなかった大昔から、その国の人々の生活に密着してきた不可欠な食べ物ってことなのかもしれません。

ところで、保存性について、ですが、食塩不使用のバターであれば発酵/非発酵での大きな差異はないそう。
発酵バターは発酵モノであるが故、保存条件によってはしだいに風味が変化するけれど、
正しく低温で密閉して保存している限り、腐敗/変敗という尺度では大差ないそうです。


というわけで皆さんも、ちょっと頑張って作る焼き菓子にはぜひ発酵バターを!
メーカーさんによって味が全く違うのもまたおもしろいですヨ〜。


| お気に入り(グルメ) | 15:21 | comments(11) | trackbacks(0) |
曜子先生、すごく勉強になりました!

バターにもワインみたいにAOCがあるんですねー。

発酵バター、やっぱり香りが断然違いますよね♪
味も深みがある気がします。

1度だけ生クリームにヨーグルトを入れて保温して
サワークリームを手作りしたことがあります。

生クリームを乳酸発酵させたものがサワークリーム、
ですよね?

サワークリームをバターにしたものが発酵バター、
ってことでしょうか??
| ばく | 2013/04/11 11:12 PM |

ばくさん
AOC、チーズにもありますよ〜。
理屈で言うと、サワークリームをバターにしたものってことになりますよね。

そういえば、フランスでは酸味のないクリームのほうが
売り場が小さくて、大体が酸味があるクリームでした。

| 若山曜子 | 2013/04/12 12:15 AM |

むむむ。
なるほど。勉強になりました。
以前どこかで(誰かのブログかで)、日本の発酵バターは後付で酸味をつけるから味が薄い。。。というのを呼んだ記憶があります。
なので、3.11の後発酵バターが消えたのは、通常のバターだけで消費が終わって、発酵バターに回す分がないんだ〜と考えていました。
エシレとか、確かにおいしい。

素人にはあまり味の違いが分かりませんが、発酵と普通のバターで一番違いが分かる時は焦がしバターを作る時。
発酵バターの方が匂いがきつい気がします。
それが風味だと思うのですが、バター嫌いの夫はすっとんできて換気扇を全開にします・・・
| mayutan | 2013/04/12 12:41 PM |

mayutanさん
旦那様 バターお嫌いなんですか〜?
チーズもダメかしら?
明治さんの発酵バターなどはちょっとチーズのような
強い香りがありますね♪

このあたりは好みでしょうか。
| 若山曜子 | 2013/04/13 12:52 AM |

発酵バター
大好きです
お料理の味に深みが出ます
ケーキには最高ですね
| ryuji_s1 | 2013/04/13 9:23 AM |

ryuji_s1さん
私も大好きです♪
| 若山曜子 | 2013/04/15 9:05 AM |

若山曜子さん
有難うございます
| ryuji_s1 | 2013/04/15 9:12 AM |

なるほどなぁ〜。
なんとなく発酵バターは高級で特別な工程を経て作られているものっていうイメージでしたが、昔は自然にそういうものになっていたってことなんですね。
お味噌とか醤油を考えると、やっぱり発酵を経ているもののほうが、味に深みが出たり風味がよくなるのは当然といえば当然なんですね・・・。そうなると発酵バターを選ぶのも必然・・・か。
本当に勉強になりました!ありがとうございます♪
| hirorin | 2013/04/15 12:32 PM |

hirorinさん
私もなんか特別に…って思ってたけど
むしろ特別じゃないバターだったんですよね。

発酵っておもしろいですよね〜。
発酵と腐敗は同じですと習いました。
人間の体に有益か害になるかってわけかたなだけで
微生物の働きには変わりがないわけですよね〜
| 若山曜子 | 2013/04/18 1:07 PM |

初めまして。発酵バターを調べていてたどり着きました。
若山先生がおっしゃっていらっしゃる「マルシェの発酵バター」とは、どちらのブランドでどこで手に入りますか?
| nonna | 2015/08/01 4:01 PM |

nonnaさま

マルシェというのは、パリで定期的に幾つか開催されている朝市のことで
どこでも八百屋さんや魚屋さんの他に、フロマージュリーというチーズやさんがあります。そういうとこでは、農家さんから買った大きいバターの固まりをグラム売りで買え、スライスしてくれたりするんですが(もうパックになってるものもあります)加熱処理されていないので、賞味期限がとても短いのです。(どんどんすっぱくなっていきます)特にブランド(マーク)があるわけではありませんがデパート食品館などでもフェルミエ(農家製)として売られていたりします。
とてもおいしいのでぜひヨーロッパを旅行されたら召し上がってみてください。
| 若山曜子 | 2015/08/01 6:30 PM |

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