Mon journal 甘くて優しい日々のこと

本について思う事
 今日は、まずとても残念なお知らせがあります。

「天板ひとつで作るたくさんの焼き菓子」の出荷停止のご連絡をいただきました。
絶版ではないけれど、よほどの限り、増刷はしないとのこと。


「パウンド型ひとつで作る〜」に比べて売れてない、と担当編集さんに言われていたので、なんとなく覚悟はついていたのだけれど、まだあまりこういう経験をした事がないので、ついにきた。という感じでありました。

おねいちゃんの「パウンド〜」は変わらず人気者。今なら書店さんから注文できるかな。
版元さんにもすこしばかり(数冊?)在庫はあるそうです。


最近、大好きな本(少なからず良本として有名な料理本)を知人に教えたら、絶版だったり、参考資料として買おうと思った2、3年前の本がすでに絶版で、図書館で探すしか読む方法がなかったりということが多くなりました。

新しい料理本はものすごい数出ている一方で、良本が次々と消えていく…気のせいか、ここ何年かでそのサイクルもどんどん早くなっている気がします。

本を出しましょう!と新しい企画が立ち上がるのは、とても楽しいことだけれど、その一方で、大好きな「本」という存在が、もしかして、とても軽く、薄く、そして日常から遠い存在になっているのでは?と不安がよぎります

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先日あるSNSで、代官山蔦屋が気に入らない、という文章を読みました。

「本をファションアイテムと捉えているようだ。」と。そしてその文章をきっかけに「ファッションアイテムとしてしか残らない本屋のありかた」を問われている方もいました。

読んでいて少し違和感を覚えました。

私は代官山蔦屋、わりと好きなのです。

木陰で夕暮れにコーヒーを飲みながら、大量の本を読める幸せ!中には買うのを躊躇する高価な洋書だってあります。

料理本コーナーに直行する私には料理本のことしか言えませんが、置かれている本のセレクトも比較的好みだし、探しやすいのも好きな理由の一つです。

(あとで知ったのですが…こちらに料理本をセレクトされている方の記事があります。)

もしかしたら、代官山蔦屋で売れる本と全国で何十万部も売れる本とはズレているかもしれません。いやズレていると思います。

自分の好きな本と全国ですごく売れている本がちょっとズレているように。。(「天板ひとつで作る〜」は大好きなのに(涙)…以下略。)

代官山蔦屋でも全国の書店でもどちらでも人気が出るような本を出したい、そんな思いが私の心の中になんとなくあるのも、私が時々足を運ぶ理由なのかも知れません。


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そういえば、以前、代官山蔦屋ではリバイバルしてほしい本のアンケートを募集していました。その結果がどうなったか、私は知らないのですが、単純にこの企画素敵!と思いました。

実はその頃、私は、自分のブログで紹介をしていた「パリっ子の食卓」という本(パリの日本語新聞の連載をまとめたもの)が絶版なのを知って、河出書房新社の編集さんに、再販するチャンスはないかとメールをしていたのです。

それがきっかけで、再販の話はトントン拍子にすすみ、今は新しいカバーで本屋さんに再登場しています。

これは何とも言えず嬉しかった。

自分の本が出るのとはまた違った嬉しさ、でした。

著者さんは、私が編集さんに熱いメールを送ったこともご存じないと思います。でもいいのです。ご自分の会社が、以前こんなよい本を作っていたということをご存じなかった編集さんを動かして、また世に良い本が出た!そこに一役買えた、という自己満足に浸れたのですから(笑)


新しい本を作るのはわくわくすること、でもすでに良い本があるのなら、まだ見ぬ世代が手に取るチャンスを残してあげる事も、大切だと思います。

下が学生時代に愛用していたもの。

バーンズ&ノーブルも、丸善も…。時折耳にするニュースだけで、今、本屋さんに足を運んでもらい、本を買ってもらうためには、大変な努力が必要なのだなと感じます。

おしゃれな外観、単価の高い文具や雑貨にコーヒー。

そんな、書店を元気にするために実践される、従来の本屋にないファッショナブルな面だけをどうこういうのなら、それはその人が実際にそこの棚に置かれている本を手に取っていないから、中身を見ていないからではないのかなあ。


主張のある本屋さん(セレクトをよいと思うか嫌いと思うかは個人の自由だけれど)、

あの本、あそこにならある、と思える棚を持つ本屋さんは強い。

そして楽しい。

その楽しさを、本屋さんに長居して、実際に手に取って本を選ぶという喜びを、

まだ知らない人たちに見つけてもらいたい。

これから先、時代や世代に応じていろんなスタイルの本屋さんが増えてくのも、またよいこと。

本と過ごす時間は、とても素敵なものだから、出会う場所はたくさんあったほうがいい。と私は思うのです。


| よしなしごと | 10:19 | comments(16) | trackbacks(0) |